音楽が聴こえる
「で、お前は俺に八つ当たりしに来たっつー訳か」

「ねぇ。何であたしに、あの子達を押し付けたのよ」

悟は問いは答えず「腹パンチは勘弁な」とだけ言って、リップも剥げてしまった口元に唇を押し付けた。

「……なんかコスプレみてぇだなぁ」

唇を離した彼はニンマリと笑った。

「お前、AVに出て来そう。差し詰め『女教師、背徳の夜』ってとこだぁな」

「死ね、バカ!!」

悟は喉仏を震わせて笑い、あたしの首筋に顔を埋めた。


……そうやって、すぐはぐらかす。

はぐらかされるあたしもあたしだ。

悟の指があたしの背中をブラウス越しにそっと撫でる。その度に、体の芯が震えそうになり、あたしは息を殺して我慢した。

「……やっぱガッコーの先生シチュ、やベーな。このままだと飯前に、がっついたことになりそ」

悟はあたしの体をムズムズさせただけで、簡単に手離すとリビングの方へ歩き出す。

「……食いもんあったっけかな。茉奈、ピザでもとるか?」




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