音楽が聴こえる
廊下の何処かに今頃、転がってる筈。
壊れて無いと良いけど。

どうする、あたし。
悟の家が近くたって今から行ったら流石に、いつもの電車無理だし。

小テストの準備も途中だったし。
昨日、あのまま帰んないで用意しとけば良かった。

他に持ってるのはサングラスだけなんて、なんて役立たず……。

ほとんど化粧もして無いし、充分地味だから今日は諦める?

う、悩んでいるうちに時間じゃん。

……仕方無い。

あたしは意を決してマグカップを流し台に置いた。



ーーー
あたしが教鞭をとっている陵北高等学校は、平均的な成績の子達が通う学校だ。

そこに居る先生方も平均的で保守的。

ことなかれ主義と言えば、それまでだけど。

職業が『教師』であって、それ以上でもそれ以下でもない人達が多い。

あたしもきっとその一人。

別に教師に夢や希望があった訳じゃなくって、ただパパ……父を安心させたかっただけだった。

堅実な職業に就くことが、あたしにとって最優先事項だった。
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