White Magic ~俺様ドクターの魔法~
******
「佐々木先生、よろしくお願いします」
1週間ぶりの瞬さんの顔。彼は私を見ると、控えめな笑顔を与えてくれる。
「はいよ」
そう言うと、私の後ろに立っていた神尾先生に目をやると、一瞬怪訝な表情をすると、「何?あれ」私とは視線を合わせず尋ねた。
すぐに答えようとしたが、それより先に神尾先生が口を開いた。
「慶命大学病院、脳外科の神尾です。今日は、見学をさせていただきます」
丁寧にそう言うと、口角を上げて、佐々木先生の顔を見ていた。
しかし、無愛想に「あっそ」とだけ言うと、内視鏡室に向かった。
なんか機嫌悪い?
もしかして、最近会いに行ってないから?
でも、ここに入ってくる時は不機嫌そうではなかったはず。
私が佐々木先生の後ろ姿を目で追ってボーっとしていると、一喝された。
「何やってる?ボーっとしてないで、早く来い!」
「あっ、すみません」
佐々木先生に怒られることなんて滅多にない私は、一瞬のうちにスイッチが入った。
仕事中に余計なことを考えていたらあかんやん。
内視鏡室に入ると、彼はさっきの厳しい顔ではなく、優しい表情を見せてくれた。
神尾先生は内視鏡室の外で見ているので、今は2人だけの空間になっている。
小声で話せば、外には聞こえない。
佐々木先生は、内視鏡室の窓に背を向けているので、私だけが彼の表情を見ることができる。
「疲れてるんじゃないか?」
カルテを見ていた顔を検査の準備している私に向けて、優しく聞いてくれたのが、とても嬉しくて涙がでそうになってしまった。
「ありがとうございます。大丈夫です」
大丈夫じゃないのに、そう言うことができなかった。