White Magic ~俺様ドクターの魔法~
「瞬さんって、将来的には、病院を継ぐんでしょう?」
代々続いている病院を継がないわけがないだろう。
「あぁ、いずれはね」
そう言うと、ニッコリと笑ってくれた。
「・・・じゃぁ、いつぐらいとか考えてるの?」
こんな話、したことがなかった。
いや、聞けなかったのかもしれない。
彼の未来に、私が本当にいるのかが、心配だったのかもしれない。
「う―ん、なんで?」
いつもならはっきり言ってくれるのに、歯切れの悪い言い方をするのはなぜ?彼の中でもまだ決まっていないから?
「なんとなく」
そして、私も曖昧な言葉を選んでしまった。
「救急医療についても様々な問題がありますが・・・・・・」
議題はいつの間にか変わっていて、救急医療の話になっていた。
「救急車による病院のたらいまわしなどの問題もありましたが・・・・・・」
「遺族からの訴えがあった〇〇県では改善されているようですが・・・・・・」
あっ、瞬さんのことだ。
瞬さんのおばあ様が亡くなって半年以上が経つが、あれからすぐに県は動いてくれ、救急医療体制が改善されたらしい。
「俺って、めっちゃいことした?」
笑いながら言う彼を見ると、やっぱり寂しそうで、それはおばあ様が犠牲になったからだというのが受け取れる。