甘いヒミツは恋の罠
「ルビーちゃん……って?」


「紅美の紅といつも身につけてるルビーから、適当につけたあだ名だ」


 飄々とした態度を取る朝比奈に紅美はハラハラと気を揉んだ。


 兄弟とはいえ仮にもアルチェスの社長だ。紅美はどこまでも図太い朝比奈の神経を疑った。


「そういえば……皆本さんはいいルビーのネックレスをしてるね、ここにルーペがあったら見せて欲しいところだよ」


「あ、それなら私持ってます」


 紅美がすかさずポケットからルーペを取り出すと、ネックレスと一緒にそれを手渡した。


「あぁ、悪いね」


 そう言いながら朝比奈社長はじっくりと角度を変えながらルビーを光に当てたりして覗き込んだ。


「こ……れは」


 ほんの興味本位で覗き込んだルビーの底に、朝比奈社長の表情が少し緊張したものに変わる。


 そしてもう十分だというようにルーペとネックレスを紅美に返すと、黙りこくってしまった。
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