甘いヒミツは恋の罠
「あの……どうかされましたか?」


「え? い、いや、なんでもない。いいルビーだなって思っただけだよ」


「祖母から譲り受けたもので、大切にしてるんです」


「そうか、あぁ、もうこんな時間だ。私は次に予定があるのでここで失礼するよ」


 そう言って朝比奈社長は軽く手を振って、そそくさとその場を後にした。


(社長……どうしたのかな?)


 どこにでも売っているようなルビーのネックレスなのに、ルビーを見たときの朝比奈社長の反応がなんとなく気になった。


(私、もしかしてなにかしちゃったのかな……?)


 そんなことをモヤモヤと考えていると――。


「これって、この間の合コンに来てた皆本ってやつがデザインしたネックレスだよな?」


「あ、ほんとだ」


 背後で自分の名前が聞こえて振り向くと、スーツを着た二人の男性がショーケースを眺めていた。


(あ、あの人たちは……)
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