甘いヒミツは恋の罠
「あの、今日はどうしたんですか? なにかあったんですか……?」


『…………』


「すみません、こんなこと……私が心配してもしょうがないんですけど」


『……い』


「え? 朝比奈さん、もしかして具合悪いんで――」


 プープーという通話が切れる機械音がして、紅美は言葉につっかえる。今にも死にそうな朝比奈の声を聞いて紅美の頭がパニックになっていった。


(お、落ち着いて! とにかく朝比奈さんのいるところに行かなきゃ……! ってどこにいるのか聞いてなかった!)


(どうしよう……! そ、そうだ!)


 おそらく朝比奈は自宅にいるに違いない。住所を知っていそうな心当たりのある二人の男の名刺を手帳から取り出してじっと見比べる。




 大野隆史――。

 朝比奈翔――。
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