甘いヒミツは恋の罠
「こういうこと、期待してたわけ?」


「え……? あ、ンッ――」


 熱い唇を押し付けられて唇を塞がれる。その状況に目を見開くと、紅美は身を捩って抵抗した。


「い、嫌……やめて」


「お前、ガキっぽいくせにキスされた時だけ色っぽい顔すんだな」


 何度も何度も唇を奪われて朝比奈の唇が首筋を這い、胸元に熱い吐息を感じた時――。


「こんなの嫌……!!」


 渾身の力で朝比奈を突っぱねて身を起こすと、知らず知らずのうちに涙が溢れて頬を伝っていた。


「どうして、どうしてこんなこと……」


 泣き出す紅美に興が削がれた朝比奈が面白くなさそうに顔を背ける。紅美は脱がされかかった衣服の乱れを掻き合せるように整えるとベッドから降りた。


「大抵の女は俺に抱かれれば喜ぶ、お前だって――っ!」


 バシっと頬を打つ乾いた音が部屋に鳴り響く。


 紅美は、無意識で朝比奈の頬を打っていた。
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