甘いヒミツは恋の罠
(ごめんね、あなたの分は今度買ってくるから)


 心の中でそうつぶやくと、ぷいっとそっぽを向いてベッドで横になっている朝比奈の方へ行ってしまった。


(嫌われちゃったかな……?)


 卵粥が出来上がると、ベッドのサイドテーブルに運んだ。


「温かいうちにたべてください」


「いらないって言ってるだろ。それになんでここに来た?」


 朝比奈はベッドに仰向けになって、まだ頭痛がするのか腕を額にあてがいながら言った。


「だって、あんな死にそうな声聞いたら……誰だって心配しますよ。あの時は、私も気が動転してしまって……朝比奈さんのところへ行くことで頭がいっぱいになってしまったんです。心配したら……だめ、ですか?」


 俯いた視線をちらりとあげて朝比奈を見る。すると、朝比奈は口の端をあげてニヤリと笑った。


「ふぅん……それって」


「きゃっ」


 不意に腕を掴まれたかと思うと、ぐいっとベッドに引き込まれた。



(え……?)


 気が付くと朝比奈に組み敷かれて、険しい目で見下ろされていた。
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