甘いヒミツは恋の罠
「なんなんだよあの女……」
女に殴られた経験はある。けれど、殴られた後にこんな胸がチクチクと痛むのは初めてだった。そして自分のしたことをこんなにも後悔したことも――。
「くそ……」
朝比奈はふと、ベッドサイドに置かれている既に湯気の失せた卵粥に目が留まった。
一瞬、捨ててしまおうかと一度はシンクに持っていたものの、試しにスプーンで掬って口に運んでみた。
「……うまいじゃないか」
すでに冷めてしまっていたが、優しい味が口に広がった。
「何やってんだ……俺」
まるで胸の中がかき乱さるような気分だった。朝比奈はきっと熱があがってきたせいだと言い聞かせて再びベッドに潜り込んだ。
フニャーゴ、と喉を鳴らしながらサフィがベッドに飛び乗って枕元で丸くなる。
女の泣き顔などもう見飽きたというのに、なぜか紅美の泣き顔だけは自分に跳ね返って胸を抉った。
――私のこと、そんなふうに見ないで!
――見損ないました。
「ほんと、なんなんだよあいつ……」
目を閉じて何度もむりやり寝ようと試みたが、先ほどの傷ついた紅美の表情が目と脳裏に焼き付いて、その夜は睡魔に誘われることはなかった――。
女に殴られた経験はある。けれど、殴られた後にこんな胸がチクチクと痛むのは初めてだった。そして自分のしたことをこんなにも後悔したことも――。
「くそ……」
朝比奈はふと、ベッドサイドに置かれている既に湯気の失せた卵粥に目が留まった。
一瞬、捨ててしまおうかと一度はシンクに持っていたものの、試しにスプーンで掬って口に運んでみた。
「……うまいじゃないか」
すでに冷めてしまっていたが、優しい味が口に広がった。
「何やってんだ……俺」
まるで胸の中がかき乱さるような気分だった。朝比奈はきっと熱があがってきたせいだと言い聞かせて再びベッドに潜り込んだ。
フニャーゴ、と喉を鳴らしながらサフィがベッドに飛び乗って枕元で丸くなる。
女の泣き顔などもう見飽きたというのに、なぜか紅美の泣き顔だけは自分に跳ね返って胸を抉った。
――私のこと、そんなふうに見ないで!
――見損ないました。
「ほんと、なんなんだよあいつ……」
目を閉じて何度もむりやり寝ようと試みたが、先ほどの傷ついた紅美の表情が目と脳裏に焼き付いて、その夜は睡魔に誘われることはなかった――。