甘いヒミツは恋の罠
 お母さんなんて大嫌い――!

 小さい頃、母親に初めて憎まれ口を叩いた記憶が蘇る。


 紅美の母、皆本みどりは母親の神楽坂涼子とは違い、ジュエリーデザイナーを目指してはいたものの、まったく才能が見いだせず、挙句の果てに飲み屋で知り合った男と駆け落ちをして都会から離れた田舎町で暮らしていた。


 そして紅美が生まれたが、養っていくために二人とも働きに出て行かなければならなくなった。その頃、神楽坂涼子は有名なジュエリーデザイナーとして活躍していたが、娘のみどりの素行の悪さの噂がきっかけで、その人気も衰えていった。



 紅美は祖母のデザインするアクセサリーが好きだった。


 人に喜んでもらうためにアクセサリーのデザイナーになろうと決めたのも祖母の影響があってこそだった。にも関わらず、みどりは毎日のように飲み歩き、ギャンブルにも手を染め、借金をかさむようになっていった。


 それから、みどりの借金を完済するためにとうとう神楽坂涼子の立ち上げた会社を畳む羽目になってしまったのだ。
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