甘いヒミツは恋の罠
「お前の母親から連絡があって、お前の住所を教えろとしつこく言いまとってきた」


「え……?」


「最近、雑誌の取材とか受けてただろ? だからうちの社員ってことがわかったらしい」


「……それで、用件はなんだったんですか?」


 わざわざ娘の勤め先にまで連絡をしてくるなんて、厚かましいにも程がある。よっぽどの理由でない限り、紅美はみどりの行動を許すわけにはいかなかった。


「……金を、貸してくれって」


「な……」


「五千万ばっかり必要なんだってさ……どうする?」


(またお金の話……)


 昔から母から聞かされる話は金銭トラブルのことばかりだ。そんな話にうんざりしていた紅美に再び嫌な記憶が脳裏で揺れる。


「そんな持ち合わせあるわけないじゃないですか……あったとしても、私はあの人に聞く耳持ちたくありません。朝比奈さん、すみませんでした。どうか忘れてください」


 今にも泣きそうな紅美を見つめながら、朝比奈は先ほどのみどりとの会話を思い出した。
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