甘いヒミツは恋の罠
※ ※ ※


「ち、ちょっと! ここって朝比奈さんのマンションじゃないですか!?」


 会社から車で数十分、何処へ行くのだろうかとぼんやり窓の外を眺めていたが、徐々に記憶にあるマンションが見えてきて、紅美は急に焦りだした。


「お前を今夜家に返すわけにはいかない」


「どうしてですか? 意味がわからないんですけど……ちゃんと説明してください」


「つべこべ言わずいいから来い」


 再び強引に車から下ろされて、無言のまま朝比奈の部屋に着いた。なにも知らないサフィがニャーゴニャーゴと擦り寄ってくる。


「なに突っ立てんだ? 早く中に入れ」


「は、はい」


 なし崩しにここまで来てしまったが、一体朝比奈に何があったのだろうかと紅美は訝しげに朝比奈を見た。朝比奈はコートをそのまま脱いでソファの背にかけると、どさっと腰を下ろして座った。
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