甘いヒミツは恋の罠
「朝比奈さんの秘密……それって絶対、罠でしたよね?」


「キスしてる時くらい黙ってろよ……」


 何度も角度を変えられ、吸われて啄むように口づけを重ねる。


「ん……っ」


 思わず身体の芯が疼いて身じろぎすると、朝比奈の強い腕に抱き直された。


「朝比奈さんのこと……知りたいって思うたびに秘密が増えて……私はどんどんその罠にはまっちゃったんです」


「罠ってなんだよ?」


「……恋の罠です」


「ぷっ! なんだそれ」


 朝比奈が作り出すデザインは、紅美にとって夢と憧れだった。


 指輪のデザインだけがないことが、不思議と朝比奈瑠夏という男を知りたいというきっかけとなった。そして、少しずつ朝比奈を知っていくたびに紅美は、その甘い罠に絡み取られてしまっていたのだ。
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