甘いヒミツは恋の罠
「それを言うなら、俺も同類だな」


「え……?」


「その罠にはまったせいで、俺はお前という存在から逃れられなくなった。だから……その責任ちゃんととってくれよ? ルビーちゃん」


 甘く耳元で囁かれると、朝比奈の熱い吐息が耳朶にかかってゾクリとする。


「もう、それはこっちのセリフですよ……」


 にこりと笑って再び降りてくる朝比奈の唇にそっと目を閉じる。ふわりと重ねられるその感触が心地よくて、紅美はいつまでも酔いしれた。


「愛してる……」


 朝比奈の口から紡がれた告白が、紅美の全身へと染み渡っていく。うっとりとしながら紅美が目を開けると、左の薬指にはめられた指輪がキラリと二人の永遠を照らすように光り輝いていた――。
< 366 / 371 >

この作品をシェア

pagetop