冷たい上司の温め方
「大丈夫だ」
そう言った彼から素早く体温計を奪うと、三十七度六分を指していた。
「まだ熱があるじゃないですか。ドライヤーどこですか?」
「ドライヤー?」
楠さんの返事を待たずに洗面所に行きドライヤーを見つけた私は、彼の髪を乾かし始めた。
「いいから」
「風邪ひいてるのに、なに言ってんですか!
今日は言うこと聞いてください」
やっぱりお母さんみたいだけど、今日はおとなしくしてほしい。
「わかった、よ」
観念した彼は、おとなしくソファに座っていた。
「ベッドに行きますか?」
「いや、ここでいい」
「そうだ!」
髪が乾いてしまうと、冷蔵庫からプリンを取りだした。
「すこしでも食べられないですか? 元気出ないですから」
やっぱり彼にプリンは似合わないと思ったけど、楠さんはフッと笑う。