冷たい上司の温め方

「三課は、首を切るだけが仕事じゃないんだ。
時にはテコ入れして、軌道修正するのも仕事。
楠さんのやり方はヒヤヒヤするけど、効果絶大」

「それじゃ、最初から?」


小さく頷いた笹川さんに、楠さんは首を振った。


「いや。自己評価を見て、自分の悪いところが見えていないなら飛ばすつもりだったが?」


この人、本当に怖い。
だけど、あの時楠さんはわざと厳しいことを言い、真摯に自分と向き合うように仕向けたような気もする。

冷たいんだか優しいんだか、よくわからないけど、彼のことがすごく気になる。



そして、私も初めての面接に立ち会うことになった。

就業後、人事のあるフロアの一番端にある小さな会議室で私達はその人を待った。


楠さんと笹川さんが隣合って座り、完全な見習いの私は、部屋の隅に椅子を置いて座った。


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