冷たい上司の温め方

「すみません……」


なぜだか謝らないといけない雰囲気になって、一応頭を下げると、やっぱり豪快に消毒液を振りかけた彼は、絆創膏をこれまた乱暴に張り付けた。


「イタッ」

「すぐ治るだろ」

「ありがとう、ございます」


乱暴すぎる治療に文句のひとつも言いたかったけど、治療してくれたのには違いない。
私は不満をゴクンと呑み込んで、お礼を口にした。


「履歴書」

「履歴書?」

「持ってるだろ?」


時計に目をやると、もう面接の始まっている時間だ。
履歴書はもう提出してあるけれど、一応予備に携帯している。


この人、本当に紹介してくれるつもりなのかな。
いや、してくれないととっても困る。


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