冷たい上司の温め方

バッグの中から履歴書取りだして渡すと、貼ってある写真と私を見比べてニヤリと笑う。


「な、なんですか」

「いや、このジャジャ馬が済ました顔してるなと思ってな」

「は?」


ちょっとムカついて、履歴書を取り返そうとしたけれど、さっと引込められてしまった。


「文学部か。つぶしがきかないってとこか」

「あの、さっきからムカつくんですけど」


だけど、この人の言う事はいちいち正論だ。


「まぁ、大卒だろうが高卒だろうが、そんなの仕事のできには関係ないけどな」


そんなことを呟いたのを聞いて、少し驚いた。

確かに、関係ない。

文学だろうが、経済だろうが、実際の仕事とぴったりマッチングする能力を持った人なんて、ほんのわずかなんだと思う。

医学部とか薬学部とかいった専門職以外は。

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