冷たい上司の温め方
「今日はやめますか?」
笹川さんが楠さんに尋ねると、首を横にふる。
それから私達三人は、なかなか開かないドアを見つめて、一時間ほど待った。
重苦しい雰囲気だった。
それぞれが飯田さんに関する資料に何度も目を通し、一言も発せず、ひたすらに飯田さんの到着を待つ。
誰も首切りをしたいわけではないのだ。
だけど、もしかしたら今日、クビが決定するかもしれない。
そんな危うい雰囲気に、息がつまりそうだった。
「遅くなりました」
突然ドアが開いて、汗びっしょりの飯田さんが飛び込んできた。
「お待ちしておりました」
楠さんは、飯田さんが遅れたことについて一言もとがめず、椅子を勧める。
前回の時に暴言を吐かれたのにもかかわらず、冷静そのものだ。