冷たい上司の温め方
そんなこと言ったって、私だって父の会社がどんな会社とライバル関係にあるのかなんて、知らない。
きっとそれが普通だ。
聡子のお父さんが重要な役職についているから起こったことなのだろうけど、それを聡子のせいにするのはちょっと気の毒だ。
それにしても……娘を利用しようとするなんて。
しかも、こんな形で。
社会って、私が思っている以上に恐ろしいところなのかもしれない。
「就活なんて、しなきゃよかった」
ほとんど泣きそうな聡子を慰める言葉が、もうこれ以上思い浮かばない。
「今まで特に努力もしないで、世間知らずだった私が悪いわ」
「聡子……」
怒りが沸々とこみあげてくる。