冷たい上司の温め方
「笹川。あとは頼んだと残しておいたはずだ。
お前の仕事はここに来ることじゃない」
「はぁ?」
その言葉に反応したのは、笹川さんじゃない。
私、だ。
「なにひとりで黄門様やってるんですか!
あなたには助さんも格さんもいるじゃないですか」
「なに言ってんだ、麻田」
呆れ顔でメガネのフレームに触れた楠さんには、言いたいことが山ほどある。
だけど……そこに走り込んできた遠藤さんに、遮られた。
「楠君、私が知っている新聞社のお偉いさんを捕まえたわ。
今、地下に来てるから、全部ぶちまけなさい」
目を丸くしたのは、私だけではない。
楠さんも笹川さんも、だ。
「笹川君、あなたは人事に戻って、部長に説明しなさい。
どうせ退職届を出してる人がいるだろうから」
「えっ?」