冷たい上司の温め方

「そんなことは覚悟の上です」


人事部三課の楠は、正義のヒーローなんだから。

いや違う。黄門様?
すると、私と笹川さんは、助さん格さん?

とにかく……わけのわからない権力なんかに負けないんだから。


「常務、大変です!」


その時、ドタバタと数人の社員が駆け込んできた。
あれはたしか、広報の社員だ。


「常務に情報漏えいの疑いがあると、新聞社が下で騒いでおります」

「すべて事実ですよ。私が告発しました」


楠さんはそう言うと、私達を促して部屋の出口に向かう。


「まさか、首切り……」


広報のひとりがそうつぶやくと、楠さんは表情を変えることなく、頭を下げて部屋を出た。


「楠さん!」


笹川さんが楠さんに詰め寄る。

< 378 / 457 >

この作品をシェア

pagetop