冷たい上司の温め方
「そんなことは覚悟の上です」
人事部三課の楠は、正義のヒーローなんだから。
いや違う。黄門様?
すると、私と笹川さんは、助さん格さん?
とにかく……わけのわからない権力なんかに負けないんだから。
「常務、大変です!」
その時、ドタバタと数人の社員が駆け込んできた。
あれはたしか、広報の社員だ。
「常務に情報漏えいの疑いがあると、新聞社が下で騒いでおります」
「すべて事実ですよ。私が告発しました」
楠さんはそう言うと、私達を促して部屋の出口に向かう。
「まさか、首切り……」
広報のひとりがそうつぶやくと、楠さんは表情を変えることなく、頭を下げて部屋を出た。
「楠さん!」
笹川さんが楠さんに詰め寄る。