冷たい上司の温め方

地下に着くと、すぐに遠藤さん達の休憩室に飛び込んだ。


「人事三課の楠です。彼女は部下の、麻田です」


そこにはちょっとダンディなオジサマがひとりで私達を待ち構えていた。


「神田さんの息子さんだとか。
真っ直ぐなところは、お父様譲りですね。
初めまして、菅原です」


名刺を差し出した菅原さんは、優しく笑った。


「お父様の事件の時も、私が担当しました。
ですが、楠さん。これは内部告発です。
公益通報者保護法があるとはいえ、おそらくあなた方の今後は険しいものとなります」

「覚悟はできています」


楠さんは、メガネのフレームを少し上げると、口を開いた。
< 382 / 457 >

この作品をシェア

pagetop