冷たい上司の温め方

公益通報者保護法って、なに?

首を傾げていると「内部告発者に対して解雇や減給などの不利益な取り扱いをしてはならないという法律だ」と楠さんが教えてくれた。

そんな法律、知らなかった。


楠さんが菅原さんに見せた情報は、想像をはるかに超えた莫大な量だった。
いつの間に調べたのだろう。

社内秘の情報にアクセスした日時や、秘書竹中のスケジュールまであった。


「竹中は、情報にアクセスのあった次の日は、毎回残業をせず帰っています。
ほぼ毎日残業なのに、不自然です。
おそらく東条電機の女と密会し、情報を流していたのでしょう」


それを知って、あの写真を撮ったんだ。

私のつかんだ情報は決定打にはなったけれど、もしなくても告発できたかもしれないとさえ思う。


「常務は三年前から竹中に良いように使われていたようです。
重役以上にしか閲覧できない重要機密を常務に探らせ、竹中がその女に流していました。
常務には退職後の役員を就任をちらつかせて。
もちろん、竹中の作り話しですが」

< 383 / 457 >

この作品をシェア

pagetop