冷たい上司の温め方

「麻田さん、これは違うって言ったでしょ?」

「はい。すみません」


白いシャツと黒いエプロンという私とは違うベスト付きの制服を着た彼女は、バイトではなくて社員だ。
そして、私達を取り仕切る鬼の番人ってとこ?


「まったくトロイわね。役に立ちゃしない」


ドライブスルーのマイクのスイッチを切って、嫌味だけ言うと、一オクターブ高い声で再び接客を始めた。


くっそー!

言われたとおりやってるじゃない。


彼女はバイトの教育係だけど、必要以上にはなにも教えてくれない。
こうやったら効率がいいとか、これは他の人に頼んでもいいとか。

だけど、そのままではどうしても悔しい私は、その日から業務の合間に他の人を研究し始めた。

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