冷たい上司の温め方

もしかしたら、聡子の人生を狂わせたのは私なのかもしれない。

なにも知らず、きれいなままで生きていくことだっとて、彼女にはきっとできたのに。
余計な苦しみまで知らなくたって……。


「あのっ、ごめん」

「なにが?」

「なんだか私、聡子の人生滅茶苦茶にした?」


私が友達だったからかなぁ。
だとしたら、申し訳ない。


「人の話、聞いてる? ありがとうって言ったのよ?」

「う、うん」


「それでもさ……」と口を開くと、聡子は唇を尖らせてすねたふりをする。


「えー、美帆乃は私と友達なの、嫌だったんだ」

「そんなわけないじゃん」

「いっぱいおごってもらったし?」

「それもあるけど。って、訳ないでしょうが」


「あはは」と笑う聡子は、やっぱり素敵な友達だ。
こんなお嬢様がいたって悪くない。

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