冷たい上司の温め方

おばあさんの言葉を、照れながら聞いていて思い出した。
私がここに来たのは……。

チラッと腕時計に目をやると、もう指定された時間が目の前に迫っている。


「私の孫はねー、大学を卒業して、なんだかカタカナばかりの会社にねー」

「あはは、ご立派なんですね……。あのっ、私……」

「でもねー、寂しくてね」


照れ笑いがいつの間にか苦笑いに変っていた。

お願い、そろそろ解放してください!


「そうですね。あっ、もう一度、お電話されてみては?」

「あぁ、そうねぇ」

「すみません、公衆電話まで……」


駅員さんに振ろうとすると、おばあさんは手に持っていた大きめのバッグからなにかを取り出した。


「あぁ、電話が入ってるわ」


あら……。

おばあさんには少しも似合わないスマホが出てきてびっくり。
しかも、ビビッドなピンクときた。

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