冷たい上司の温め方

そして、ためらうことなく手を動かし、電話をかけ始める様子に、"時代は変わったわねー"なんてこっちが思ってしまう。


「それじゃ……」


駅員さんにチラッと目配せして、やっと私はそこから逃れることができた。


面接の行われる会社は駅から徒歩五分となっているけれど、十分は見た方がいいだろう。

面接の時間まであと丁度十分。
普通なら着いていて当たり前の時間だ。



駅前は、たくさんの車。
そして、高いビル。

「ここ、テレビで見たことある!」と叫んでしまいそうな憧れのオフィス街を、全速力で走り始める。

リクルートスーツを着て、履きなれない五センチヒールのパンプスで。


こんな人、他にいなくて注目の的だけど、こっちは人生かかってるのよ!

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