小さな恋心
あれは、中学2年生の3学期の始めだった。

私、佐々木愛望(ささきあみ) はあまり目立つ方でも地味な方でもなく、そう、ごく普通の中学生。

クラスで委員決めで図書委員だけ残った。なんたって、図書委員は図書室の本の整理にクラスの本の整理に市内の図書館にまでお手伝いしに行くという面倒な仕事なのだ。
男女共々みんな嫌がりジャンケンの末、うん、私、負けちゃった。とほほのほ。
いや、今になっては負けてよかったって心の底から思ってる。

「愛望! 頑張って!」

私を応援してくれた子は 川中朋華(かわなかともか)。 幼稚園の頃からの付き合いで幼馴染で心友 ♡ 隠し事なんてなーんもないよってくらいの仲です。笑

「えー 、 朋華代わってよー」

私が半分泣きべそになってるときに、男子の図書委員が決まった。

「うわっ まじでー!!」

中川康介(なかがわこうすけ)。
サッカー部キャプテンで元気で明るい。
そう 、 今の私の好きな人。
私は男子に興味ないし、女子力の欠片もないし、朋華と馬鹿やってることが楽しくて、恋愛なんてどうでも良いって思ってた。
けど、彼だけは違った。


その日から委員活動は始まった。正確に言うと、毎週金曜日。

今日はクラスに置く本を図書室から選び持って行くという仕事だった。

「愛望ばいばい 委員がんばれよん」

「朋華ーー 行かないでーー」

「むーりー♩」

と言うと朋華や他のみんなも部活に行ってしまった。
残った私と中川くん。
てかてか、3学期になるけど、1回も喋ったことない !! どうしよ !

「佐々木 … さん だよな ? 委員辛いけど一緒に頑張ろうな !」

その時の中川くんの笑顔は今も忘れてないよ。
目を細めて、口角をあげた優しい顔に私の脳内は一時停止した。

「は はい !」

「 っ 笑 なんでそんな硬いん ?笑」

「 あ ー 、 笑」

男の子と必要以上に喋ったことないから動揺してしまった。

恋なんてしたことなかったし、その恋心も知らなかった。でも、この日から彼が好きになってたんだなって。

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