何度でもキミに初恋を
結局、俺はずっとすずを抱き締めていた。



母さんの『ただいまー』という声が聞こえた時、ようやくすずはゆっくりと体を起こした。



俺は…
どうしていいかわからず、寝たふりをした。


ほんとに卑怯だなと思う。
思うけど、こうするしかなかった。


自分の行動も、すずの行動も、自分の気持ちさえ、何もかもが理解不能だった。


ただ、もしすずと今までみたいな関係でいたいと思うのなら、寝たふりをするのが一番いい方法だと思った。


そして、俺はそれを望んだ。




< 57 / 143 >

この作品をシェア

pagetop