【短編】
家族全員息苦しそうにしている中で、私は一人息苦しくなることもありませんでした。
確かに、息は吸いづらかったのかもしれません。
そもそも、酸素がほとんどないのだから当たり前なのです。
なのに、私は息苦しいという感覚も、姉や両親のように息を引き取ることもありませんでした。


その時、私は何故自分だけが死ななかったのかも理解できませんでしたし、警察が来た時、一人生き残っていた私に対して、不思議な顔をしたことも何度も何度も病院で検査された理由もわかりませんでした。


後から考えれば、警察の人が何日もネバリをされ練炭を燃やされた部屋、それに加えて遺体からは腐乱臭もするといった状況下で子供が一人生き残っていれば、怪訝に思うことも、そんな状態の中で死なずに生きているのだから、病院で検査されることは何の不自然なことではないのだということは理解できます。


が、その時の私には本当に理解できませんでしたし、むしろ何故父や母、姉が死んでいったのか理解できなかったのです。



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