それでもキミをあきらめない
「もう一度、やり直させてほしい」
わたぐものように、ふわふわとあたたかな空気に包まれる。
「――奈央」
正面から抱きしめられて、わたしは固まってしまった。
高槻くんのかたい胸に、涙に濡れた顔が押し付けられる。
「ずっと好きだった。俺と、付き合ってください」
心臓の音が聞こえてしまいそう。
身体が硬直して、何も答えられないでいると、
ふっと、ちいさく笑う声が聞こえた。
「まあ、たとえ断られても、あきらめる気なんかないけど」
「え……」
顔を上げると、高槻くんははっとしたようにつぶやいた。
「やべ、俺ってほんと、ストーカーみたいだな……」
自分でショックを受けたように言うから、
つい笑ってしまった。