それでもキミをあきらめない
「まだ起きてんのかよ、明日学校だろ。ん、何やってんだお前」
風呂上りの翔馬がタオルで頭を乾かしながら近づいてくる。
「な、なんでもない」
画面を閉じるわたしを胡散臭そうに見下ろして、数学の教科書を手に取る。
「もうすぐ1時じゃん。早く寝ないと起きれねーぞ」
「い、いいの。明日は学祭だし」
ぱらぱらとめくられていたページがぴたりと止まった。
「学祭?」
「うん。もうやることないし、いつもより遅い登校でいいから」
一瞬だけ考え込むように黙ると、兄はつぶやいた。
「へえ、学園祭か」
「なに?」
「べつにぃ。ま、とりあえず早く寝とけよ。夜更かしすっと肌が荒れるぞー」
不穏な笑みを浮かべて、翔馬は部屋を出ていった。