それでもキミをあきらめない
となりを見れば、すぐそばに筋の張った腕がある。
清潔感のある白シャツも、眠そうな二重の目も、ピアスホールのない耳も、無造作にセットされた黒髪も、全部がわたしの好みのド真ん中で。
こんなに近づけるなんて、すこし前のわたしは想像もしていなかった。
『一緒に回らない?』の意味を勘違いした自分はとてつもなく恥ずかしいけれど、結果的に彼のとなりにいられることで胸が躍ってる。
「高槻くんが売り子なら、このパスタもきっとすぐになくなっちゃうね」
女の子が競うように買っていく場面を想像していると、彼はわずかに眉をひそめた。
「いや、これ激マズだから」
「え!?」
抱えたパスタの山を見下ろして、高槻くんは他人事のように言う。