それでもキミをあきらめない
「え……?」
目を上げると、高槻くんの真っ黒な瞳に吸い込まれそうになる。
「ケータイの番号とか、メアドとか、IDとか」
言葉の意味を理解するのにすこし時間がかかってしまい、あわてて答える。
「ごめん。わたし、ケータイ持ってなくて」
わたしの回答にちょっと驚いたような顔をしてから、彼は「そっか」とつぶやいた。
ケータイなんて友達のいないわたしには不必要だと思っていたのに、このときほど持ってればよかったと悔やんだことはない。
ふたりの会話が途切れると、高槻くんの姿を見つけた女の子たちが次々にやってきた。
「レオ―なにやってんのぉ」
「げ、これ例のパスタ?」
茶色に染めた明るい髪や、学園祭仕様のかわいいリボン。女の子らしいふんわりしたアイテムがよく似合う女子生徒たち。
華やかな彼女たちに気後れして、わたしは高槻くんの陰に隠れた。