それでもキミをあきらめない
「ごめんね、練習台にして」
机に置かれたメガネが、所在無さげにわたしたちを見上げている。
「でも、ゼロでいるよりは少しでも前に進んだほうがいいでしょ? わたしも、奈央ちゃんも」
「え……?」
「安心して。奈央ちゃん元がいいし、絶対可愛くなる」
鏡がないから、自分の顔がどんなふうに変わっているのかは分からない。
でも、キリカさんの手つきは優しくて丁寧で、不思議と安心できた。
「せっかく女の子に生まれたんだから楽しまなきゃ!」
ぽんと肩を叩かれて、わたしは顔を上げた。
メイクが完了したらしく、キリカさんが満足そうに何度も頷いている。
「おおお~」
翔馬がわたしを見て妙な声を漏らした。
「変わった……けど、その制服はだせえ」
膝を覆うスカートを見て、翔馬はにやりと笑う。
「なんてこともあろうかと!」