幸せにする刺客、幸せになる資格
『分からない』
『分からない?』
『まずは、やりたいことに少しでも完璧に近づけるように一生懸命努力することで、その先は・・・琴乃のことは分からない』

すると、ノリは少し笑った。

『お前は、真面目だな』
『そうかな』
『サッカーは高校までで終わりか?』

大和くんは、小中高とサッカーを続けている。
決して強いチームではないけど、司令塔として常にレギュラーポジションの大和くんだから、もう少し続けてもいいと思うんだけど。

『サッカーは、職業にできるとは思えないから』

確かに。
プロになって稼げる人なんて本当に一握りだ。

『父さん、俺のこと、応援してくれる?』
『当たり前さ。父さんはお前が決めたことなら何でも応援するつもりだから。だけど、悩んだり行き詰まったりしたら、ちゃんと言えよ』
『それは、約束するよ』

ふたりの会話には、私が入り込めない空気と深い絆を感じた。
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