幸せにする刺客、幸せになる資格
翌日の日曜日も朝から琴乃ちゃんが来てくれた。

ひととおりの作業ののち、お昼に一旦全員が帰ってきた。

すると琴乃ちゃんは私に"お昼ごはんの準備、手伝います"と言ってきた。

確かに手伝ってくれるのは有難いけど…摘果作業を手伝って貰っている上に家のことまでやらせるわけにはいかない。

やんわりと断ると、琴乃ちゃんは、

『私は頼まれてもいないのに押し掛けボランティアみたいなことをしているんです。ボランティアは自分のことについては自分で自己完結させることが原則なのに、私はここにお弁当も持ってきていません。だからせめて、支度だけでもお手伝いさせてください。次回からはきちんとお弁当を作ってきますので』

と理路整然と言われ、その勢いに圧倒されてしまった私。

すると大和くんは、

『コト、いいんだよ。お前はここで作業が出来ることを単純に喜べばいいんだから、気を使うな』

と言って彼女を座らせた。

不本意ながらも、大和くんの言うことに従った琴乃ちゃん。

『摘果作業で十分戦力になっているんだから、休憩すべき時はした方がいい。明日は学校だし、そこに影響が出ちゃうと親御さんに申し訳ないしね』

ノリは納得していなさそうな琴乃ちゃんを優しく諭した。
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