幸せにする刺客、幸せになる資格
私は夢を持って東京に行ったわけじゃない。
大学を出て、東京の一流企業に入って、キャリアウーマンやりながら結婚をして女に幸せを掴むんだろうなぁ・・・と漠然と思っていたことはあった。

でもそれは夢とは全然違う、ただ自分の成り行きを予想しただけのもの。

目標も何もなく、ただ東京に憧れていただけでやる気も野心もないのでは、私のような地方育ちには東京の水に合わせるのは難しかったということだけが分かった生活だった。

"ウワァ~ン"と大きな声で泣きだしたユウ。
そろそろミルクの時間か。

今回は母乳の出が悪いので、ミルクとの混合で育てているけど・・・ミルクだけになるのは時間の問題かも。

『専業主婦だって、立派な職業ですよ』

そう言ったのは琴乃ちゃん。

『あら琴乃ちゃん、いい事言うわねぇ』

私のお母さんは、作業を通じて結構琴乃ちゃんと仲良くなっているみたいだ。

『特に・・・亜香里さんの場合は、大和くんのお父さんのサポートをしているわけで、それも立派なことです』
「そんな、私はそんなに役に立ってないと思うよ」
『何も役に立つのは仕事だけではないですよ。うちのように夫婦喧嘩ばっかりの家で育つより、やっぱり円満な家の方が、よりよい仕事が出来るはずですから』
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