幸せにする刺客、幸せになる資格
大和くんもノリという父親を信頼し、何でも話す。
喧嘩しているのは見たことはなくても、2人で熱く語り合う姿は大和くんが中学生に上がったくらいから、よく目にするようになった。

よく親は大きくなると子供との会話がなくなる、なんて嘆く話を聞くけど、ノリと大和くんに関しては、その心配は皆無だ。

夜になって子供達も寝静まった後、ノリと大和くんはしばらく話していた。
琴乃ちゃんのことを。

『だから、琴乃とはそういう関係じゃないって』
『ま、いずれそうなっても、避妊はしろよ』
『その言葉、そのまま父さんに返すよ』
『言うようになったなぁ、お前』

2人で笑った。

『でも、本当に好きな子が出来た時、そのプロセスの中で気持ちの整理がつかないこともあるだろう。それを父さんにぶつけてもいいし、学校の友達でもいいから、必ず何らかの形で吐き出せ。絶対思いを閉じ込めるようなことをするんじゃないぞ』

ノリは真顔でそう言った。
多分これは自分の実体験だろう。
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