幸せにする刺客、幸せになる資格
『こんな話を、亜香里の前でするのは申し訳ない。だけど、いつかは大和に話そうと思っていたし、君にも理解してもらえると信じている』

一瞬私を見たノリだけど、すぐに大和くんを見た。

『さっきの話に戻れば、思いは素直に吐き出せと言いたいんだ。父さんが唯一後悔しているとすれば、どこにも誰にも言えなかった当時の環境だけだ。あの状況だけは、大和に味わわせたくない』
『父さん、ありがとう』

大和くんもノリを真っすぐ見ている。

『でも、最後はやっぱり自分の努力だと思うから、同じ方向を見ている琴乃と一緒に、頑張るよ』

私はそんなシビアなことを包み隠さなく語る父子を、ただ眩しく眺めていた。
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