幸せにする刺客、幸せになる資格
★それぞれの、親子の形~side NORI~
あれから、大和の"彼女候補"である琴乃ちゃんは収穫にも来てくれた。
変わらず、週末には東京から紗英夫婦も来てくれている。

ユウの世話もあって、亜香里は主には加工品の発送作業が仕事になっているけれど、それでもどっぷり家事だけの生活だけではない刺激はあると、彼女は楽しんでやっているようだ。

年を越し、1月下旬の剪定作業を終え、さらには大和は高校2年生になり、りんごの木に白い花が咲き出した4月下旬の土曜日。

前日は雨だったので、木々の見回りをしていた僕は、それらを終えて家に帰って昼ご飯をみんなで食べていた時、外から大きな声が聞こえた。

『何しにいらしたのですか?ここは貴方達の来るべきところではありません!』

大和の声だ。

何事かと思って様子を見に行くと、門から玄関のドアの間にある、普段は子供達を遊ばせる憩いの庭で、大和と対峙している初老の夫婦。
大和の傍らには琴乃ちゃんもいる。

夫婦は、よく見なくても分かる。
僕の両親だ。

僕から遅れて様子を見に来た亜香里は"とりあえす家に入っていただきましょう"と言うものの、

「いや、しばらく様子を見よう」

大和に言いたいことを言わせてやろうと思った。

子供である大和には、親を選ぶ権利はないのに・・・
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