幸せにする刺客、幸せになる資格
僕の身勝手で、大和にまで苦労をさせた。
心の内を、祖父母にぶつけたい気持ちは分かるし、それを僕に止める権利はないと思った。

ただ、家の中にはカズをはじめ、4人の子供がいる。
その子たちを巻き込むことはできない。

汲み取った亜香里は、僕らにつられて玄関までやってきた子供達をうまく家の中に戻した。
・・・まぁ、昼ご飯が途中なので、席を立つのはお行儀の悪いことではあるからね。

『そこをどきなさい。私達は時間がないんだ。わざわざここまで来て、君の言葉に怯むわけにはいかないんだよ』

元々高飛車で傲慢な口の聞き方ではあるが、自分の子供に対して降りかかる言葉を改めて聞くと、それらを一層強く感じた。

しばらく、大和と両親との押し問答は続いた。
傍らの琴乃ちゃんは、黙ってその様子を見ていた。

『父は許しても、僕は許しませんよ』
『子供である君に何が分かる?私は徳文の父としてではなく、ビジネスとしてここに来たんだ』

その言葉に、さすがの僕も意義を申し立てざるを得なかった。

「ビジネスなら、アポイントのひとつくらい入れるのが当然なのでは?」
『父さん』
『ノリ』

僕は庭に出て、4人のいる場所で立ち止まった。
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