幸せにする刺客、幸せになる資格
『先程泣いていたのは、嬉し泣きです』
「嬉し泣き?」

僕が疑問を投げかけると、琴乃ちゃんは大和を見た。

『コトのお母さんの前で俺が言ったんだ。"琴乃さんが好きなので、一緒に夢を追いかけてもいいですか?"って』
「お前もやっと具体的な言葉にしたわけだ」
『コトにはその前にちゃんとコクったよ。一週間前にね』

去年は"まだ分からない"なんて言っていたのに。
運命の出会いは、きちんと育まれていた。

『お母さんがまだ大和の容姿を見て感想を言えるうちに会わせてよかったです。しかも大和がきちんと私達のことを言ってくれたことが嬉しくて、泣いてしまいました。これも全てノリさんのお陰です。ありがとうございます』

琴乃ちゃんが頭を下げてすぐに、大和も軽く頭を下げた。

ここで、飲み物とチーズケーキが同時にテーブルに置かれた。

「さ、食べよう。君達の恋の成就を祝してささやか過ぎる父さんからのプレゼント」
『それってかなり後付け感満載なんだけど』
「あ、バレたか。でも父さんは素直に喜ぶよ。きっと、大和の母さんもね」
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