幸せにする刺客、幸せになる資格
到着すると、

『お父さん!』

琴乃ちゃんのお父さんが病室前に佇んでいた。

『初めまして、僕は琴乃さんと高校の同級生でお付き合いさせていただいている安西大和と申します』

すかさず大和くんが一礼をした。

『そうか・・・君が大和くんか。少しだけど、琴乃からは聞いた。ごめんね、迷惑ばっかりかけて』
『いえ、そんな』
『お母さんは?お母さんはどうなの?』

琴乃ちゃんはお父さんに詰め寄る。

『今病室で先生達が懸命に措置をしているよ。急に意識レベルが低下して、昏睡状態に陥った。肝硬変になっている人間は、そこから命の炎を再び灯すことは非常に厳しい。覚悟が出来たら、中に入って見届けなさい』
『うん。お願い、大和も一緒に入って』

大和くんは琴乃ちゃんの提案に、少々躊躇っているようだ。

『俺は・・・やっぱり最後は親子水入らずの方がいいと思う』
『大和は、水なんかじゃない。一緒に見届けて欲しいの。お母さんの最後の場面を共有して欲しいの』

琴乃ちゃんの気持ちが分かるような気がした。
今を一緒に好き合う者がいる奇跡。
だからこそできる、琴乃ちゃんの思い出の共有。

私は、ノリと出会ったのが25歳の時だから・・・それまでのノリは、話でしか聞いたことがない。
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