幸せにする刺客、幸せになる資格
大和くんたちはその点、贅沢だ。
だって高校生の時点から今を共有できているんだもん。

「大和くん、入りなよ。琴乃ちゃんが望んでいることなのに、何を迷っているの?」

私の言葉に、大和くんが何かを決めたかのように、

『琴乃、入ろう』

と、2人は中へ入って行った。

『琴乃には、辛い思いと寂しい思いばかりさせてきました』

大和くんと琴乃ちゃんが病室に入ると、前のベンチに座った琴乃ちゃんのお父さん・・・千村さんは力なく隣に座った私に言った。

私は言葉の真意が汲み取れず、千村さんの次の言葉を待った。

『私が、妻と結婚する時、周囲の猛反対を受けたんです。理由は・・・妻の健康状態の悪さでした』

聞けば、肝臓が悪かったのは昔からで、肝炎の治療のため薬を飲み続ける生活だったことから、りんご園を営んでいた千村さんの両親をはじめ、親戚友人から反対をされたとのことだった。

『それでも妻は身を犠牲にして琴乃を出産してくれた。それなのに・・・孫は可愛いけど、妻は子供さえ産めばもう用なしのような態度を私の両親に取られて、苦しんでいました』
「そうですか・・・そんな大人のやりとりを子供の琴乃ちゃんもしっかり見ていましたでしょうし、辛かったでしょうね」
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