幸せにする刺客、幸せになる資格
それでもうちの園は、サッカー場10個は取れる広大な土地を管理しているので、人手はたくさんいた方が助かる。

そう思っていたら、

『ノリさぁん、私も収穫手伝いますぅ』

100メートルほど走って、山形さんがやって来た。

いつもはパンツルックのスーツなのに、今日は普段着。

「おはようございます。今日は土曜日なのにお疲れ様です。でも大丈夫ですよ、妹たちに来てもらいましたし」

僕は自分でも分かっている。

山形さん…亜香里さんのことを意識的に避けていること。

最初に会った頃は1つしか年齢が違わないところから、友達のようにくだけて接してきた。

しかし、時間が経つにつれ、変化があったんだ。

変わったのは彼女ではない。
僕。

大和と仲良く遊んでいたり、アップルパイを焼いてくれたり、蜂矢の爺ちゃん婆ちゃんとも話相手になれる。

そんな、社交性豊かで明るい性格はお客様からも評判がいいと、ある時代理でうちに来てくれた亜香里さんの上司である課長から聞いた。

課長と全く同じ印象を持っていた僕は、それが…多分他のお客さんとは違う感情になった。
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