幸せにする刺客、幸せになる資格
ソファー前のテーブルに料理が並べられる。
ランチにしては、かなりのボリューム。

でも食べるのって、ノリさんと私だけでしょ?
食べ切れるかな・・・

ところが、料理があまりに美味しくて、ふたりでほぼ食べ切ってしまった。

「私、太っちゃいます」
『いいですよ。女性は太っているくらいが健康的でいいじゃないですか』
「後片付けだけでも、私、やらせてください」

そう言って私は"やらなくていい"と言うノリさんを押し切り、私がキッチンに入った。

『じゃ、僕はさっき取り込んだだけの洗濯物を畳んできますので、申し訳ないですがそちらをお願いします』
「はい、分かりました」

互いの作業を終えると、ノリさんから、

『こちらに来ていただけませんか』

と言われて行った場所は、リビングの隣にある和室。

観音開きの扉を開けると、そこには仏壇があった。
さらに仏壇の扉を開き、ろうそくに火を付けながら、

『ここに、大和の母親の位牌があります』

と、私に教えてくれた。

「手を合わせてもいいですか?」
『はい、どうぞ』

私は傍らにあった線香を二つに折って火を付け、香炉に置いた。

どんな事情であれ、わが子を置いて旅立つのは無念だっただろう。
そう思いながら手を合わせた。
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