幸せにする刺客、幸せになる資格
お金持ちの集まる成瀬川学院での出来事なので、それが傷害事件として明るみになることはなかったが、それからはノリさんは学校の敷居が高くなり、休みがちになっていった。

それでも、紅葉さんとの愛と子供は守りたかった。

紅葉さんは天涯孤独。
親兄弟はいない。

ノリさんの実家は事実を知ると大激怒。
しかしそれが予想できたので、正式にノリさんの両親に知らせたのは、もう堕胎ができない時期である妊娠8ヶ月目のことだった。

恐らく、認知だけして結婚は認めてもらえないだろう。
そう思っていたノリさんに、さらなる不幸がのしかかる。

紅葉さんの息切れが激しいことから病院の検査を受けると、心臓に重大な病気を抱えていることが発覚した。

『今すぐ手術をしないと心不全を起こす可能性が高いと指摘されたけど、紅葉は頑なに手術を拒否したんだ。手術をする場合は明らかに胎児に影響を及ぼす薬の投与やMRIを受けなければならず、"子供を守る"と言って聞かなかった』

病院側は妥協案として心臓への負担が大きい自然分娩を止め、帝王切開にすることを勧め、それには紅葉さんも同意した。
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